追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

…分からない。

私は響さんの事が何も記憶にない。

デリヘル穣として初めて響さんに出会った時、
目を見開かれた。

"俺の事、覚えてる?柏木(かしわぎ)響だよ?
ずっと会いたかった…"

そう名前を言われたけど、
私は何も分からず、人違いされてるのかと思い
「はじめまして、花です」
と、作り上げた営業向けの笑顔で名乗った。

すると響さんはそんな私を見て
凄くショックを受けたような顔をしていた。

"…俺の事、覚えてなさそうだね"

それは本当に切なそうな寂しそうな表情で
私の頬を優しく擦ってきて…
彼が人違いしてるようにも思えなかったけど…

だからと言って
私は彼を見ても名前を聞いても
思い出せる事が何1つ無かった。

どこか気まずい雰囲気の中

「…今日は私、帰りましょうか?」

内心は少し動揺してはいたが
あくまで仕事中のため、冷静にそう言えば

"待って、ちょっとこっちに来て"

慌てた響さんに部屋に引き込まれ
ソファに座らせられれば

"…何で、花はこんな仕事してるの?"

私の目を見て真剣に聞いてきた彼。