追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

"姉ちゃん!?"

するとワンコールで出た海斗。

「あ…海斗、ごめんね。
電話に出られなくて…」 

ひどく焦っている海斗に謝れば

"何かあったの?俺、凄く心配した…。
姉ちゃんに何かあったんじゃないかって…"

海斗の弱々しく呟く言葉を聞いて
心配を掛けてしまった事で
凄く心が苦しくなる。

…お父さんを亡くしてからは余計に
海斗は私への愛情が人一倍強くなったように
思える。

だからデリヘルで働いている時も
私がいつ帰ってくるか
事前にちゃんと確認してきて
どんなに夜遅くなっても起きて待っていた。

お金がないと分かった上で
海斗が"携帯が欲しい"と言ったのも
私といつでも連絡が取れるようにしたいから
という理由だった。