追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「…響さん」

「どうしたの、花?」

「…どうしてまだ
私の本当の名前を呼ばないんですか?」

「…」

「私の名前、教えましたよね…?
私、ゆづ、」

…柚月。
名前を言おうとすれば荒々しく唇を塞がれ
「…んっ、」と、甘い息が漏れる。

唇が離れて息を乱していれば

「…花が俺を思い出してくれるまで
俺は本当の名前は呼ばないよ。
それに花だって…俺の事"響さん"なんて
あの時は呼んでなかったし
敬語なんか使ってなかったよ…」

響さんは切なそうに私の顔を見ると

その後は何も言わず抱き締めたまま
本当に眠りに付いた。