追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

啓さんも、姉ちゃんと同じように
やっぱり俺の高校進学を
進めているのだろうか。


2ヶ月前、家に訪れた啓さんに
高校の事を聞かれた時、
俺が"家にお金を入れたいから行かない"と
言った時は特に何も言わなかったけど


「…もうこれ以上、
姉ちゃんに負担掛けたくないので」


俺が目の前の冷たい鉄棒を掴みながら
静かにそう言うと

「…海斗君の気持ちは分かるよ。
俺も柚月の弟だったら、
きっとそういう決断をしてるだろうし」

啓さんはベンチで携帯を触る
姉ちゃんの方を見つめながら
優しく言った。