追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

今俺らは公園のベンチの所にいる。


啓さんはそこに姉ちゃんを座らせると
自分の着ていたコートを姉ちゃんにかけて
手を握りながらずっと甘い言葉を掛けているんだけど…


…一体俺は何を見せられてるんだろうか。


正直、こんな甘い光景を間近で見た事はない。

…しかも恋人同士で一緒に風呂とか、
絶対そういう事だよな。

姉ちゃんも恥ずかしいのか
俺をチラチラ見ながら
「海斗の前でそういう事言わないで…」
と普段絶対に見せない女の子の顔をしている。


啓さんは特に気にも止めず
ずっと甘い表情をしているし…。


…啓さんはどうして俺と姉ちゃんを
ここに連れてきたんだろうか。


しかもここは、お互いに家庭生活が複雑な時に来ていた公園で…。


3人共あんまり良い記憶がないはずなのに。