追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「…手、繋いだっけ?」

「いや、結局繋げなかったよ。
俺はいつまでも素直になれなかったから…
柚月と手を繋ぐ勇気もなかったし。
それに若に譲らないとってずっと思ってたしな」

「…そっか」

「…だから今こうやって柚月が俺に触れて
歩いてくれてんのが凄く嬉しい」

啓君はそう言って
私の肩を引き寄せた為

「…うん。私もこの昔歩いた道を
啓君とまた歩けるなんて嬉しいよ。
記憶を取り戻せて本当に良かった…」

私も素直に啓君の手を握りながら歩けば

「もう一生、忘れるなよ」

啓君も私の手を強く握り返してくれた。