追憶の愛情~想い出せない貴方へ~



啓君の腕を掴み
身体を寄せながら歩いていれば

「…何か懐かしいな」

啓君はポツリとそう呟いて
私が顔を見れば

「…夕暮れ時に柚月とこうやって歩くの。
小学生の時は腕組んだりしなかったけど…
柚月と海斗君が俺の家に来る度に
送ってあげてさ…。柚月が横にいて歩いてると
ずっとドキドキしてたの覚えてるし
手を握ろうかずっと迷ってたよ」


啓君はとても優しい表情をして
私と顔を見合わせた。