追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「え?啓君、どこ行くの?」

「柚月の家」

「待って、まだごはん作った後の
片付けが終わってないから…」

「…それは俺が帰ってきてからする。
今柚月とここにいると間違いなく手を出して
止まんないから」

啓君はそう言って玄関を開くと
冷たい風が吹いていて…

私と手を繋ぎながら
マンションの階段を下りると

「腕掴んどけよ。少しは温かいだろ…」

啓君は恥ずかしそうに言ってきた為
私はそんな啓君を凄く愛おしく思いながら
腕を両手で掴んで身体を寄せれば


「…ホント拷問だな」


啓君は寒さからかそれとも恥ずかしさからか…
耳を赤くしながら私の家に向けて歩いた。