追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

響さんはゆっくりと私から離れると
ソファに押し倒された私の手を引き寄せ
そのまま響さんの膝に股がるように
抱き締められた。

「…花さ、」

するとふいに響さんから名前を呼ばれれば

「まだ、俺の事思い出してないんでしょ…?
それなのにどうして
俺の事優しいとか言うの?
思い出せないから俺に罪悪感募らせて
同情してそんな事言ってるの?」

響さんはどこか哀しそうに
私を抱き締めていた。

「脅されてここに呼び出されて
好きでもない男に抱き締められてキスされて
…花はそんな俺をどうして優しいとか
言って家族の事も相談してくれるの…。
俺、花に嫌われる事しかしてないよ…」

響さんに抱き締められる温もり。

前は緊張しかしてなかったけど
今は何だか凄く安心する。

この気持ちが好きという事なのか…
それはまだよく分からないけど

私は響さんが嫌いではない。
むしろ信じているし、
もっと彼の事を知りたいと思った。