追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

私が玄関まで出向けば 
啓君はびっくりして私を見ていて

「えっ!?柚月…」

「おかえり、啓君」


"おかえり"そう言うのが何だか照れながらも
私が微笑んでいれば


「今日、用事があるって言ってなかった?」

啓君は私の頬に手を添えながら
聞いてきた。


「うん。もう帰るけど、
…啓君にご飯作っておいてあげたかったから
初めて合鍵使って入ったの。急にごめんね」


触れられる頬にドキドキしながらも
真っ直ぐ見ながら言えば

「…もう帰るの?」

啓君は寂しそうに口にした。