追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「それで、花は何て言ったの?」

「え…?」

「だってもう借金も無いし
お金だって…堅実な花の事だから
俺があげて使わない余った分は
貯金してるんじゃないの?
そしたら海斗君は高校進学出来るだけの
お金は揃ってる訳だし…」

響さんはそこまで言うと
私の返事を待つように黙った。

…響さんにも何て言ったら良いのか迷ったけど
彼には何だか私の全てを知られてる気もするし

あえて隠す事でもないのかもしれない。

「…その、今海斗に
響さんの存在を言えてなくて…
まず、海斗は私がデリヘルで働いていた事も
知らないですし…借金がもう無い事も
貯金がある事も
何て説明したら良いか迷ったんです」

私は響さんの表情が気になり
思わずチラチラ見ていれば

「…まぁ普通は言えないよね。
海斗君に仕事の事も話せないのも、
俺との関係も特殊すぎて
…花、相当迷ったでしょ?大丈夫だった?」

響さんは心配そうに私の話を聞いて
言葉を返してくれた。

…私だけじゃなくて私の家族の事まで
親身になって話を聞いてくれる彼に
何だか凄く温かい気持ちになる。