追憶の愛情~想い出せない貴方へ~


「…じゃあ、啓君の実家に行ってみたい」

私がそう言えば
啓君は「え!?」と珍しく声を大きくし
焦ってまた顔を赤くしていた。

「…え、ダメ?」

私が聞けば

「いや…良いんだけど、
俺、今1人暮らしなの分かってるよね?」

「うん…元々お父さんと
2人で暮らしてたもんね」

…啓君のお父さんは亡くなったと聞いたし、
そうなれば啓君は1人で暮らしているんだろうなとは分かってはいるけど…。

「記憶が失くなってから啓君の家に行けてないし、行けば懐かしくなってまだ思い出せてない事も思い出せるかもしれないから…
…ダメかな?」

私が少し戸惑いながらそう言えば

「…柚月が来てくれるのは嬉しいんだけど、
その…俺が色々我慢出来るかな」

「…何を?」

「いや…何でもない。じゃあ行こうか」

啓君も何だか戸惑っていたけど
エンジンを掛けるとそのまま車を発進させた。