追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「あ、えっとその、
…海斗が借金の事を気にしてて
高校に進学しないってこの前言ってきて…」

響さんがなぜ海斗まで知っているのか
凄く気にはなったが、

私はとりあえず触れずに
海斗が悩んでいる借金の事と
私に負担を掛けたくないと思っている事を
響さんに伝えてみた。

「そっか…海斗君はお姉さん思いなんだね。
中学生なのにそこまで考えられるって…
海斗君はよっぽど花の事が大切なんだよ」

「…そうですかね。
お金がないから仕方なくそういう選択肢しか
無いって諦めてるんじゃないかって思ったら
可哀想だし…私と同じ道を辿って欲しくないですし…」

「花の幸せが海斗君の幸せだと思ってるように海斗君の幸せは花が幸せになる事なんだから。家のせいとかは絶対に思わないよ。
全部、花の身体が心配だし元気でいて貰いたいからこその言葉だよ。自分を責めないで」

響さんは私の手を握りながら
優しく微笑んでそう言ってくれた。

その笑顔に思わず安心しまう自分がいて
何だか不思議な気持ちになっていれば