追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「…嬉しい事?」

私が何だろうと不思議に思っていれば

「…柚月が記憶を失くす前、
海斗君は柚月に聞いた事があるんだって。
柚月は、若と俺のどっちが好きなのかを」

啓君はふとそんな事を言った。

「え…そんな事聞かれたかな?
それは思い出せない…私、何て言ったの?」

私が焦って聞けば

「…教えてあげない。
俺と海斗君だけの秘密だから」

啓君は少し意地悪そうに言うと
私を抱き締めた。

「え…啓君教えてよ…。気になる…」 

「柚月がちゃんと思い出せば良い事だよ」

「…そんな前の事を思い出せないよ。
啓君、やっぱり意地悪だ…」

私が不貞腐れれば