追憶の愛情～想い出せない貴方へ～

「け、啓くん…」

私は震えながら啓君に抱き着けば

「柚月、大丈夫だから。
俺が傍にいるから」

啓君に抱き締められる温もりに
思わず涙が溢れる。

「私…また思い出して。
ずっと嫌な記憶が離れないよ…。
宮下…から、啓君2回も助けてくれたのに、
思い出して、怖くて…忘れられない…」

どうして嫌な記憶が甦るのだろう。
啓君の傍にいれば安心するのに
ずっと頭から離れない、怖い記憶。

「アイツはもう絶対に柚月の前に現れない。
組の力で始末はしたから。
…柚月、もしかして部屋が暗かったから
今日のアイツとの事を思い出したの？」

「…うん、暗くて怖くて、
啓君もいなくて1人だったし、
灯りを付けようとしたら扉が突然開いて…
宮下の事、思い出して、」

私が泣きながらそう言えば

「ごめん。俺がうかつだった。
柚月は…その時に見た光景を思い出したり
似た状況になるとフラッシュバックして
きっと凄く怖くなるんだよね…。
俺がもっと気を付けるから」

啓君は私をしばらく抱き締めたまま
頭を撫でてくれた。

「これからは俺がずっと傍にいるよ」

啓君にそう言われ私が少し落ち着くと
そのまま、また私をベッドに寝かすと
啓君も私の横に寝た。