追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「しかもゆづの俺に対する優しい愛情の言葉に
俺を裏切ったお前ごときが嫉妬するなんてな…本当にぶん殴られたいのか?」

「い、いえ…そんな事は。
若、話を聞いておられたんですか…。
それよりどうして外に…」

「…そろそろここに帰って来る頃だろうと思って待ってたんだよ」

「…若、色々とありがとうございます」

…啓君は響さんに深々と頭を下げていた。

2人は本当に深い絆で結ばれていると思う。
…私の事で絶対に仲違いはして欲しくはない。

「あの、響さん、」

私が声を掛ければ

「ゆづ、無事で良かった」

響さんは優しい笑顔で私に声を返してくれた。

「…ゆづ、少し話がある。
俺の部屋に行こうか」

響さんはそう言って
啓君に握られていない方の手を取り
私を引こうとするが

「あ、あの…若、」

啓君は中々私の手を離さず
どこか動揺したように私の手を握りながら
響さんの名前を呼んでいた。