追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

疑り深い、慎重な海斗だ。

私の様子をずっと窺っている。

でも、私も今ここで海斗に
全ての嘘をバレる訳にはいかない。

「大丈夫だよ。
借金は返して貰ったけど
彼本当に良い人だから。
今度海斗にも紹介するからね」

「…」

「それにそのお金は
私がちゃんと働いて稼いだお金だから。
私の進学費用はお父さんが出してくれたんだから、海斗の進学費用は私が出すのは当然だよ。だって私は今海斗の親代わりなんだから」

「…」

「私も高校は卒業したんだから
海斗にもせめて高校はちゃんと卒業して貰いたい。これだけお金も頑張って稼いだのに、
海斗は私のお願いを聞いてくれないの?」

「…それは、」

海斗の目が揺らぐ。

…海斗ごめんね。

お姉ちゃんは嘘ばかりだ。
でも、海斗の人生まで壊したくはない。