追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「柚月がいないこの十年間
ずっと苦しかった。
俺がもっと早く何とかしてあげてたら、
柚月はずっと俺の傍で笑ってくれてたんじゃないかって思ったら
…ずっと後悔しかしなかった」

「啓君、」

「…でもまた柚月を見つけられて、
本当は俺が幸せにしてやりたかったけど
若といた方が今の柚月の為だって
ずっと自分に言い聞かせてた。
柚月も記憶を失くしてしまっていたし、
若と柚月の幸せを傍で見守るだけで
良いって思ってたのに、
柚月が俺の事思い出してくれて…
心の自制がどんどん効かなくなった」

「…」

「…俺、もう若に譲れないよ。
今までずっと柏木組には世話になってきた。
父さんが敵対する組との抗争で死んだ後も
若に拾って貰ってずっと恩を感じてたから
逆らう事なんか出来なかったけど
…柚月の事だけはどうしても譲れない」