追憶の愛情~想い出せない貴方へ~



「柚月、怖い思いをさせて本当にごめん」

啓君にずっと抱き締められてて
周りで何が起きたのかはよく分からなかったが

「…啓君が、あの、宮下とかいう人を、
拳銃で打ったの?」

私が震えながらそう聞けば

「…もう1丁隠し持ってたから。
俺は防弾服も中に着てたし、
別に打たれても大丈夫だと思ってた。
打つタイミングをずっと見計らってたら
柚月がまた犯されてるのを目の前で見て
感情的になって打とうしたけど
…今度は確実に助けてやりたいと思ってたし
俺が死ぬだけなら良いけど
柚月がまた苦しみながら生きるかもしれない
って思えば、怖くて中々打てなかった」

「…そうだったんだ」

「でもまさか柚月がアイツに攻撃して
…柚月の方から殺されると思ったら
撃つのを躊躇ってる暇はなかった。
柚月を失うのが…俺は1番怖いからな」

啓君もどこか震えながらも、
私を抱き上げると外に出た。