追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「…どうして宮下の事を俺に言わなかった」

「…確証もない中で
柏木組に混乱を招きたくはありませんでした」

「お前が直接見たその光景が
何よりの証拠だろ!!」

「それでも私が何か言った所で
組長に可愛いがられている宮下に
そんな簡単に裁きが下せるとは思いませんし
…柚月はレイプのトラウマで
記憶を失っていました。
宮下は…当時も柏木組のタトゥーを全身に纏いながら柚月を…犯しておりました」

「…は、」

「…だからこそ若にも言い辛かったのです。
柚月が組の内部のヤツに犯されたと分かれば
…若は確実に宮下を殺すでしょう」 

「そんなの当たり前だろ!!
しかも柚月の記憶まで失くさせたヤツを…
殺さないはずがないだろ!!
啓は宮下の事を許せるのか!!」

「そんなの…許せませんよ。
でも、私は…柚月と同じくらい若の事も
大切に思っております。
若を…感情的にさせて
人殺しにはさせたくありませんでした」

啓さんのどこか苦しそうな言葉に
若はぐっと唇を噛み締めた。