追憶の愛情～想い出せない貴方へ～

「人の心配してる場合かよ…。
姉ちゃんはいつだって人の事ばっか考えて
信じて…裏切られてきたじゃないかよ。
母さんだって最後まで俺達を愛してくれなかったし…父さんだって母さんの借金を背負って
姉ちゃんに押し付けて死んだようなもんだろ」

「…」

「今度はその幼馴染みのヤクザを同情して
信じるのか？いくら幼い時の記憶が良いものだとしても、今ソイツ等が何考えて姉ちゃんに
近付いてるのか分からないだろ。
また…あの時みたいに傷付けられるかもしれないだろ…」

海斗はそう言うと
椅子から立ち上がり学校の鞄を持つと

「…俺、やっぱり高校に進学しないから」

そんな事を言い出した。