追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

そう思えばひどく自分が滑稽に思え
響さんのキスの合間に思わず涙を流せば

「…ゆづ、」

響さんはそれに気付いたのか
私から唇を離した。

「…ごめんなさい、私、
響さんの事ずっと好きだったのに、私…」

涙がとめどなく溢れて
言葉を詰まらせていれば

「…ゆづ、俺の事、もう好きじゃないの?」

響さんは切なそうにそう聞いてきた。

私が涙を流しながらも

「好きだけど、分からない…。
啓君との事も思い出して
…気持ちも頭も今ずっとぐちゃぐちゃだよ」

何とかそう言えば

響さんは私の手を優しく握り締め

「…ゆづは本当に素直だね」

ポツリとそう呟かれた。