追憶の愛情~想い出せない貴方へ~



啓君が部屋からいなくなると

「ゆづ、どうして突然記憶が戻ったの?」

響さんはようやく私の目の前に近寄り
抱き締めながら聞いてきた。

「…お母さんの事を思い出してから
それで急にパニックになって、
それからどんどん記憶が戻っていったの…」

私が静かにそう口にすれば

「…そっか。
それで気分が悪くなって倒れたんだ…。
辛かったね…」

響さんは苦しそうに言いながら
私を抱き締める腕を強めた。