追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「…思い出したよ、
啓君の事もひーくんの事も…全部」

私が素直にそう言えば

「…そう。
でも、それにしては啓、
あんまり嬉しくなさそうだね?どうしたの?
そんなに強張った顔して…」

響さんの言葉に啓君はピクリと反応した。

「…啓はずっと、
ゆづの事を気に掛けてたよね?
俺もずっとゆづの事は心配してたけど…
啓はゆづがいなくなった後、
俺以上に焦って居場所を調べてたの
知ってるよ?」

「…え?」

私が啓君の方を見れば
啓君はずっとうつ向いており表情が見えない。

「それなのに、どうしてもっと喜ばないの?
ゆづの記憶が戻って、前みたいに笑い合えるのに嬉しくないの?
…ゆづの記憶が戻ったら戻ったで、
困るような事でも出来た?」