追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

…いやだ。

そんな事聞いて
啓君の事を忘れられる訳がない。

私は確かに響さんとも仲良くしていた。
"ひーくん"と呼んで啓君の家で話も沢山したし

…当時特別に作って貼ってもらったという
響さんの背中の刺青のシールも
見た事があった。

"かっこいいね!"そう言った私に響さんは
"怖くないの?"と、驚いた様子
で言ってきたけど…

でもその時私は本当に不思議と怖くなかった。

それは…啓君も響さんも優しい人だと
深く関わっていて分かっていたからだ。

私にとって響さんは借金を返してくれた上に
ずっと愛してくれた大切な存在…。

でも、私の心を最初に救ってくれたのは
紛れもなく啓君だった。

そして…ずっと私の置かれた環境を心配し
私の心が完全に崩壊しないように
ずっと私の事を見て救ってくれたのは…啓君。