追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「それは…もちろん」

…どんな人に触れようが触れられようが
仕事だとしか思った事はない。

「花、好きな人に抱かれるって
本当に凄く恥ずかしいけど
気持ち良くて幸せな気持ちになれるんだよ?
花はまだ…そんな感情知らないでしょ?」

「…そうですね。
恥ずかしいとか、幸せとかよく分かりません」

家族以外の人を愛する
…という感情もまだ湧いた事はない。

そう思っていれば

「…やっぱり花は純粋で可愛いままだよ。
花が初めて好きになるのも、
恥ずかしいって初めて意識させて抱くのも
気持ち良くさせてあげるのも…
花の初めてはこれから全部俺が貰うから」

響さんにそんな言葉を掛けられながら
どこか甘い視線で全身を見つめられ
自然と少し顔が熱くなる。

「…早く用事を済ませてきた方がいいですよ」

私はなぜか少し照れてしまい話を反らせば

「分かってるよ。また連絡するからね?
ちゃんと俺の言う事を聞いて
…良い子にしてるんだよ?」

そう言って響さんは財布を取り出すと
私に10万円を見せて
封筒に入れて差し出してきた。