追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「…若は出会った時から
ずっと俺を慕ってくれてた。
だから俺もそれに応えようと必死で
…若の為なら何でもしてやりたいと思ったよ」

「…だから、
公園で逆上がりの練習を…?」

「…そうだよ。若が出来なくて授業でバカにされるのが嫌だとか…本当に純粋な事を言うから…俺が教えてやろうと思ってあの時
滅多にいかない近所の公園で
わざわざ人のいない夕方に練習してたのに、」

「…」

「…まさか、そこで俺と同じように家族の事で悩んで境遇が似ている柚月と出会って、
あくまでお礼の為に柚月と引き合わせた
若がお前に一目惚れするなんて…誤算だった」

「…」

「…俺はあの時柚月の事を
本当に好きになってた。
柚月も母親の事で辛いはずなのに、
馬鹿みたいにお節介で
無愛想だった俺にも怯える事なく笑顔を見せてくれて…柚月を俺のモノにしたいって
…初めて恋したんだよ」