追憶の愛情～想い出せない貴方へ～

「花…俺を心配してくれてるの？」

響さんの表情は見えないけど
どこか嬉しそうに言っているようにも思えた。

「…3ヶ月傍にいたら
響さんの表情の変化とか顔色とかに
敏感にもなりますよ…。
さっきだって私なんかの前で熟睡して
毎日ちゃんと寝れてるのかなって
気になりましたし…」

私がポツリと呟けば

「…花は優しいね。
ずっと、俺の事を気にかけてくれて。
あの時から何も変わらない。俺の大好きな
優しくて純粋な可愛い女の子のままだよ。
…俺がこんなによく眠れるのは花の前だけ」

響さんは優しい声で私にそう言った。

…今、響さんは
どんな過去を思い出しているのだろうか。

それは、
本当に私との思い出であるのだろうか…。

「純粋で可愛いなんて事はありませんよ。
だって私色んな男の人に身体を触れられてきましたし、お金の為とはいえ自分から誘惑とかした事も、」

私がそう言い掛ければ

「花、それ以上言わないで。
花の身体を見た奴全員殺したくなるから」

殺気立った低い声で、
そんな物騒な事を言う響さん。

響さんは私と対面になり
顔をじっと見つめてきたかと思えば

「それに花だって、好きでその男達に
触れられてきた訳じゃないんだよね？
あくまでお金の為に無理してたんでしょ？」

真面目な顔付きでそう言われた。