追憶の愛情~想い出せない貴方へ~



"柚月は何でこんな遅くまでここにいるの?"

啓君が逆上がりが出来た日…
"好きだから意地悪したくなる"

そう言われた日に
それは聞かれた事だった。

"…お母さんが男の人をよく家に連れ込んでて 
遅くまで公園で遊ぶように言われてるの"

"…そっか。柚月は大丈夫なの?
何もされてない?"

"うん。大丈夫だよ…。
ただお母さん、借金があるから…
怖い人に捕まらないか心配だけど…"

"俺は柚月の方が心配だよ。
良ければ男が帰るまで俺の家に来る?"

"えっ?でも…お家の人に迷惑じゃ、"

"…俺の家は父さんだけだから。
それに父さんは最近ヤクザの仕事始めてさ…
家に帰ってくるの遅いし大丈夫だよ"

"…本当に、いいの?"

"あの家に1人でいても寂しいだけだから。
俺も柚月も1人ぼっちで似てるな?
柚月が一緒だと嬉しいし
海斗君も連れておいでよ"


そう切なそうに笑った啓君の家は
私の家の近所だった。