追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「…何か用事が出来たんですか?」

「…ごめん、花。
今日はもう…帰っていいよ」

ため息を吐き、何か困っている様子の響さん。

「…大丈夫、ですか?」

「…え?」

「あ、いや…響さん疲れてそうに見えたので
ちょっと心配になって…ごめんなさい。
もう、帰りますね」

…帰っていいと言われれば
今までは緊張感から解放されホッとし、
何も言わず帰っていたが…

一緒にいる時間が
長くなってきているからだろうか。

響さんにどこか信頼に似たような感情もあるし
情が沸く部分もあって
ため息を吐く様子に疲れているのかな…と
少し心配にもなった。

でも…そんな私の心配の言葉にびっくりした
響さんの反応が何だか恥ずかしくなり…

私が帰ろうとベッドから下りようとすれば

「花、待って」

それを制止するように
後ろから強く抱き締められた。