追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

…逆上がり、出来ないんだ。

もう少しで出来そうなのに
勢いがいまいち足りてない…。

少し足を持ってサポートしてあげたら
自分の力でも
すぐに出来るようになりそうだけど…。

私がそう思っていれば
その男の子はうつ向きながら
またベンチに座り落ち込んでいる様子だった。

「…海斗、こっち来て」

私はそう言って海斗を連れながら
その男の子に近付き
「あの…」と声を掛ければ

「…またお前かよ、何?」
と、無愛想に言われた。

「…いや、あの…逆上がり出来ないの?」

私が恐る恐るそう言えば

「…馬鹿にしにきた訳?早くどっか行けよ」

…またその男の子に睨み付けられた。