「…まだ確実な証拠がある訳でもないのに
この事を若に言ったら
柚月さんへの愛が深すぎる若は冷静な判断が
出来ないだろうし…苦しめて記憶を失わせた元凶のソイツを間違いなく殺すだろ。
若を…単なる人殺しにはしたくない。
もっと奴を追い詰める証拠が必要だし
…長年柏木組に滞在する
奴を追い出すのはかなり厄介だ。
アイツは…役職こそは付けて貰えないものの
組長に世話を焼かれながら
子供のように案外気に入られているからな」
「…」
「…親子とはいえ
若と組長もそこまで仲が良い訳ではない。
若は抗争の際も極力人を殺したがらない平和主義だが…組長は自分に不都合であれば
仲間であろうが迷いなく殺す過激主義。
お互い組のあり方に対する考えが正反対だ。
…若が柚月さんを傷付けた奴を何の証拠もない中で殺せば組内での抗争は免れないだろうし
…柚月さんも全ての記憶が戻れば、
ヤクザに犯されたトラウマで
若から離れる判断をしかねない」
「…」
「…今の若には柚月さんが確実に必要だ。
柚月さんが若を拒絶すれば…
若はもう立ってはいられないだろう。
柏木組の跡取りは若おひとりだけだ。
…柏木組の今後に関わる事案になる」
「…」
「涼、この事は黙ってろ。
今は俺とお前だけの胸に納めとけ」
「…御意」
涼は全てを悟ったかのように頷きそう言うと
その後は黙って運転し柏木組の本家へと
車を走らせた。
この事を若に言ったら
柚月さんへの愛が深すぎる若は冷静な判断が
出来ないだろうし…苦しめて記憶を失わせた元凶のソイツを間違いなく殺すだろ。
若を…単なる人殺しにはしたくない。
もっと奴を追い詰める証拠が必要だし
…長年柏木組に滞在する
奴を追い出すのはかなり厄介だ。
アイツは…役職こそは付けて貰えないものの
組長に世話を焼かれながら
子供のように案外気に入られているからな」
「…」
「…親子とはいえ
若と組長もそこまで仲が良い訳ではない。
若は抗争の際も極力人を殺したがらない平和主義だが…組長は自分に不都合であれば
仲間であろうが迷いなく殺す過激主義。
お互い組のあり方に対する考えが正反対だ。
…若が柚月さんを傷付けた奴を何の証拠もない中で殺せば組内での抗争は免れないだろうし
…柚月さんも全ての記憶が戻れば、
ヤクザに犯されたトラウマで
若から離れる判断をしかねない」
「…」
「…今の若には柚月さんが確実に必要だ。
柚月さんが若を拒絶すれば…
若はもう立ってはいられないだろう。
柏木組の跡取りは若おひとりだけだ。
…柏木組の今後に関わる事案になる」
「…」
「涼、この事は黙ってろ。
今は俺とお前だけの胸に納めとけ」
「…御意」
涼は全てを悟ったかのように頷きそう言うと
その後は黙って運転し柏木組の本家へと
車を走らせた。



