追憶の愛情~想い出せない貴方へ~



柚月が意識を失い
啓はそのまま抱き抱えると

「俺だ。迎えに来てくれ。場所は…」

どこかに電話を掛け短くそう言って
住所を告げた。


数分後、一台の車が啓の前に止まり
寝ている柚月と共に乗り込めば

「啓さん…勘弁して下さいよ。
こんな勝手な事して
若に知られたらヤバいんじゃ…?
俺、まだ殺されたくありませんよ…」

「柏木組に入った割には
随分と心が弱気なもんだな…涼(りょう)?
俺は今後の柏木組の為に動いてるんだぞ。
…俺は柏木組に命を捧げるつもりだけどな」

啓は涼しい顔で
涼と呼んだ運転手にそう答える。