追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

私が考え込んでいれば

「…姉ちゃんは、
母さんが亡くなる前の記憶を
…思い出してはないんだよね?」

海斗はどこか不安そうに聞いてきた。


「お母さんが亡くなる前…」


お母さんは病気で亡くなる前
私と海斗の事はほぼ放置状態になる程
お酒にのめり込んで…それで、


ずっと考えようとしていなかった事だった。

いや、考える事を私はあの日から
ずっと拒絶していたのだろう。


私が必死に考えを巡らせていれば
急に記憶の一部が脳裏に過った。