追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「ううん、大丈夫だよ。
それより海斗は受験の方はどう?
スポーツ推薦の受験も決まったんでしょ?」

「まぁね。やれるだけはやるけど…。
推薦落ちたら
また普通に試験受けるだけだし…。
どんな形でも高校にさえ受かって行ければ
姉ちゃんは喜ぶでしょ?」

海斗は私の方を見て笑顔を見せた。

最近海斗は前より笑顔が増えた気がする。

…やっぱり私の仕事も心配だっただろうし
借金の事も相当気がかりだったに違いない。

それに私の為と海斗は言っているけど
高校生になれるのが嬉しいんだろう。

…海斗を高校生にさせてあげられるのが
凄く嬉しい。

今、私は凄く幸せだ…。

全部響さんが借金の肩代わりをしてくれた
おかげだし…今も働かせてくれて
お金まで貰えてるおかげだな…。

そう思っていれば
ふと、ホテルで会った時
響さんが海斗の名前を聞いただけで
私の弟だと分かった事を思い出した。