追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「別に何でもない。
お前…本当に気に入らない目付きするな。
早くどっか行けよ」

その男は啓を睨み付けて言うと

「どこか行くのは貴方の方が先ですよ?
私は若の側近です。
貴方を追い払う権限はあります。
それに私も貴方の事を気に入ってはいないので
同じ気持ちで嬉しいです。
…早く組長の所に戻って、いつもみたいに
媚でも売ってきたらどうですか?
まぁ…貴方のような子供のような人柄では、
媚を売った所で組長も可愛がってはくれるでしょうが、上には立たせてくれないとは思いますけどね?」

啓は涼しい顔で毒吐くように言った。

でも爽やかだけど
どこか圧力を感じる啓の雰囲気。

そして喧嘩も強く頭も良く懐も深い…
その実績を認められ響の側近になった啓に
その男は密かに嫉妬しており
必要以上に関わりたくもないようで

「チッ…。邪魔ばっかしやがって…。
いつか痛い目見せてやるから覚えとけよ」

そう言うと去って行った。