追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

"花、借金返したいんでしょ?
それなら今すぐ仕事を辞めて。
何で俺を信用しないで約束破るの?
ずっと俺の傍にいれば生活に必要な
お金も全部出すってこの前言ったよね?"

「何でそこまで私を…」

"…花が俺を思い出すまでずっと待つ。
無理に思い出さなくてもいいから…
俺だけの傍にいてよ"

ぎゅっと抱き締められる響さんの腕は優しい。
それに、この人にだけ奉仕すれば
借金からすぐに解放される…そう思ったけど

「…響さん、
私の本名は佐原柚月と言います。
私は本当に貴方の事を知りませんし、
…きっと、貴方の想い人でもありません。
人違いされてると思いますよ」

私は正直にそう答えた。

例え都合良く思えても、
借金返済の為に利用して
この人の人生を狂わせてはいけない。
だって絶対に彼は人違いをしている。

本名を言えばいくら何でも分かるはず。
そう思っていたのに

"…本当の名前も最初から分かってるよ。
俺がずっと会いたくて堪らなくて
呼びたかった名前だから。
人違いとか、そんなのする訳ないだろ…"

響さんは私に
"人違い"と言われた事が凄く嫌だったのか
どこか怒ったように静かに呟くと

"…こんな事はしたくないけど、
どうしても俺の言う事を聞いてくれないなら
一生逃げられないようにしても良いんだよ?
…花は俺との赤ちゃん欲しい?"

私の腰を自分の方にぐっと引き寄せれば
ソコに当たる…固いモノを押し付けてきた。