追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「…花は、やっぱりちゃんと
名前で呼ばれたい?」

すると響さんは私の頭を撫でながら
静かにそう聞いてきた。

「…え?」

「…いや、だって、
啓に名前で呼ばれてる時
凄く嬉しそうに見えたから。
…俺も花にあんな表情させたいけど、
花は俺の事何も覚えていないから。
俺だけ名前呼んでも凄く虚しいし…辛いから」

「…」

「…でも花の気持ちが他の男に向く位なら
そんなプライド捨てて、
本当の名前を呼びたい。
俺は…花が俺以外の男を好きになるのは
絶対に耐えられないから」