追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

このまま無視してしまおうか迷ったけど
どこか真面目な私は無視出来ないでいた。

それに…何となく響さんの
私を見る本当に切なそうな表情が
頭にずっと残っており…

仕事で約束の時間に遅れながらも、
恐る恐る私がホテルに立ち寄れば

"…花、随分遅かったね?"

響さんはどこか不機嫌そうに私を見つめると
そのまま手を強く引かれ抱き締められれば

"…男の匂いがする。
まだ仕事辞めてないんだね?
これじゃ…契約違反だよ、花?"

そう言っていきなり
深く噛みつくようなキスを落とされた。

「…んっ、」

…荒々しいけど、でもどこか甘いキス。
私を本当に想ってくれてるようなキスに
身体が火照り、力が抜けていけば

今度は腰を直に撫でられ
ビクッと反応すれば

"…花、ベッドの上を見て"

そう囁かれ、私がゆっくりと視線を向ければ
そこには広げられたスーツケースの中に
びっしり入っている万札の束が目に入り
目を見開いた。