第一幕、御三家の桜姫




「さて、BCCもいよいよ大詰め、投票のお時間がやって参りました! みなさん、パンフレットのQRコードは読み込みましたか? 一番素敵だと思ったカップルに票を投じてください!」


 エントリーしていた八組のカップルが壇上で横一列に並んだ状態で、多々羅さんがスマホ片手に投票を促す。モニターにはこの二日間でそれぞれのカップルの獲得した得点が表示されている。


「二日目までの得点は生徒会・鹿島蝶乃ペアが四七〇点とダントツトップですね。その次に陸上部・熊本・笹本ペアが四一〇点、桐椰桜坂ペアが四〇〇点と続いています」


 ポンッ、と鹿島くんと蝶乃さんのデフォルメ顔が上に座する棒グラフが一つ増えた。ついでに得点が一気に一〇〇〇点分上昇する。どうやら一〇〇〇点で一メモリ増えるらしい。私達の隣に立っている蝶乃さんがふふんと口角を吊り上げた。


「さすが生徒会の鹿島くん、蝶乃さんは大人気ですね! 美男美女、才色兼備のカップルに憧れない人はいないでしょう!」

「鹿島も蝶乃も馬鹿じゃねーか、でたらめ言いやがって」


 チッと桐椰くんが舌打ちした。確かに、二人共成績は比較的良いけど、意外と桐椰くんの成績が良すぎるのだ。月影くんは学年首位だし、私も上位だし、松隆くんもそこそこ上位なのだと聞いた。御三家こそ才色兼備だ。


「とはいえ、二日目までは恋人のみなさんに楽しんでいただくためのゲーム! 一票につき一〇〇点のベストカップル投票、これから何が起こるか分かりません! みなさんに順々にお話を伺っていきましょう!」


 多々羅さんがエントリーナンバー1の(三年男子と一年女子ということから題して)年の差ペアにマイクを向けて「BCCのゲームで胸キュンエピソードなんてありましたか?」と訊ねている。女の子が照れながら「やっぱリードされると男を感じました……ほら手ぇ放すなよ、って言われてみたかったんです」なんて答えた。多々羅さんがなるほどなるほどと相槌を打つ間に、ぽん、とその組の得点が二〇〇点上がる。顔を上げると体がキツイから、すぐに視線を戻したけれど。


「そんなにいい答えだったのかな?」

「いい答えってか、共感できる、って程度だろ。SNSでちょっとでも理解できるものはお気に入り登録するのと同じくらい投票のハードルは低いんだよ」

「なるほど。じゃあエントリーナンバーが最後の私達は不利だね」

「残念ながら共感できる少女漫画の台詞まとめは予習せず終いだったよ」


 はぁ、と桐椰くんは重い溜息をついた。その手は私と繋ぎっぱなしで鬱陶しそうだ。

| (.)