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「遼くんはいつから金髪なの?」
「忘れた」
「中学二年生のときからよ。丁度その頃に遥ちゃんが同級生の兄弟にカツアゲされたことがあってね、相手をビビらせるために形からとか言って染めたのが最初」
「ぶっ」
「おいやめろよ吉野!」
「ちゃん付けかよしりんのどっちかにしろって言ってんだろうが!」
なるほど、弟くんのためだったのか。どうにもこうにも、桐椰くんは家族というものに甘いらしい。
「よしりんさんは遼くんの家族と仲良しなんですか?」
「そうね。総ちゃんと遼ちゃんの先輩なのよ、柔道の」
なるほどどうりで強そうなお体で……。笑顔を浮かべようとして頬がひきつった。ただ、さっき寝技が云々と話していたのは合点がいった。道場で一緒だったということだ。
「昔は可愛かったのよー、遼ちゃんと総ちゃん。遼ちゃんなんて体力がなくてマラソン完走したら吐いてたし」
「だからその話はやめろ!」
「今ではすっかりトゲトゲしちゃってるけど昔は可愛かったんだね」
「顔|抓ってやりてぇけど粉ついたら嫌だからやめとく」
「アンタそんなんだから女の子にモテないのよ?」
「だから俺がモテようがモテまいが勝手だろ!」
舞台裏で桐椰くんが「桐椰と桜坂の組」と一言告げれば、厚木さんが桐椰くんの正装に瞳を輝かせながら何度も頷いた。待機している企画委員達も女子筆頭に次々と振り返り、「眼福……!」「もうやだ死んでもいい」「写真欲しいー」なんて口々に羨望を向けている。舞台裏だから私語は厳禁であるはずなのに、そんなにインパクトが大きいかな。見上げた黒髪の桐椰くんは、確かに世間的にかなり上位に食い込む顔面偏差値だ。漫画とアニメはよく分からないけれど、譬えるなら二・五次元みたいだ。
「……なんだよ」
「遼くんは見た目はいいのになぁと思って」
「性格が悪いって言いたいのか」
「ううん、横暴だと思うの。もう少し私のことを考えよ?」
「これが終わったらお前を何発殴ってやろうかだけ考えてるよ俺は」
「あら、意外と仲良しじゃないの貴方達」
「これがそう見えるのかよ」
「遼ちゃんが口喧嘩するのを総ちゃん以外で見たことないわ」
ふふ、と背後のよしりんさんが笑った。そっか、道場で一緒だったということはいかにもインテリ派の月影くんとは知り合いじゃないのか。ふん、と桐椰くんは鼻を鳴らす。
「それも今日限りだ」



