「透冶が死んでからまだ半年も経たないのに、生徒会の神経を疑う。君のもとを離れてしまったことに気付き、遼もほとんど話はできていないらしいが、何のつもりで呼んだんだかな」
「……やっぱり、生徒会は御三家の前で透冶くんの話をしたい理由があるのかな?」
「わざわざ雨柳のおじさん、おばさんを呼んでまでするとすれば、思いつくのは俺達を糾弾することだけど。そんなことされなくても責められて仕方ないのは分かってる」
自分に対して冷然と言い放ったのは松隆くんだったけれど、月影くんも無言で同意した。透冶くんの死は――自分の身近な人間の死は、それほど責任を感じるものなのだろうか。私には分からない。ただ、責任を感じない人は冷たいと言われるのかもしれないとは思う。
「……透冶くんを最初に見つけた遼くんは、特別責任を感じてるの?」
「……まぁ、そうだね」
「……きっと誰のせいでもないのにね」
自分らしくない無責任な発言だったと、口にした後で気が付いた。慌てて二人の顔色を窺ったけれど、月影くんは表情を変えず……松隆くんも特に何かを感じた様子はない。ただ、だからこそ、無関係な私の意見など最初から耳にも入らないかのように思えた。
「……さて。俺は笛吹にBCCの順番を変えるように打診してくる。桜坂はそのままギリギリまで休んでて」
「ううん、もう大丈夫――」
立ち上がると――視界が回った。ぐっと強い力に腕を掴まれてなんとか転ばずに済んだけれど、酷い頭痛と眩暈にはつい頭を押さえてしまう。酷い顔をしていたのか、月影くんでさえ「顔色が悪いな。寝ておいたほうがいいんじゃないか」と言ってくれる始末だ。
「無理しないでいいよ、桜坂。支度は最小限で済ませるように伝えてあるし、順番を変えることも加味すれば一時間は――」
「ただ優しいだけの松隆くんなんてらしくないよ」
言葉尻を浚うように、早口で紡いだ。半身を支えてくれる松隆くんは何も言わない。それでこそ、御三家のリーダーだ。
「さっき遼くんと話したの聞いてたでしょ。御三家は御三家、私は私のためにやってるんだよ。妥協はあっても譲歩はなしだよ。ちゃんと立てるよ、私」
私と御三家との間に、みんなが羨ましがるような関係なんて一ミリたりともない。徹頭徹尾利害関係しかなくて、そのために主従関係がある。
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