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へらっと、愛想笑いをしたと思う。彼方は悲痛そうに目元を歪めて、膝をついて、抱きしめてくれた。その背後には息を切らした月影くんがいて、すぐにスマホを取り出して電話をかけている。
「あぁ、今見つけた。すぐに連れていく。外傷はないが、多分薬か何かで具合が悪いんだろう、顔色が悪い」
きっと相手は松隆くんだろう。その隙に、彼方が慰めるように私の後頭部を抱いて軽く叩いた。
「……相変わらず女タラシの仕草だなあ」
「心配してたんだよ。姿が見えなくなったっていうから」
「……いま、何時?」
「二時五〇分」
意外と、薬の効きは悪かったらしい。三時間弱しか眠ってないなんて上出来だ。未だ残っているのか、眠気のような眩暈はするけれど。
「……BCC、行かなきゃ」
「行かなくていい。透冶くんが死んだ理由なんて、知らなくていいんだ。だからアイツらを勝たせてやる必要なんてない」
「……馬鹿だなあ、彼方は。私がそんないい子じゃないって、彼方は知ってるくせにさ」
月影くんに聞こえないようにぼそぼそと小さく喋っていると、私の腕が不自由だと気付いたらしい彼方の手が背後に回った。どうやら解くことができるらしく、苦労して紐を引っ張るのが伝わってくる。
「……亜季ちゃんは良い子だよ」
「良い子じゃないよ……私、松隆くん達と取引してるだけだよ……」
ぽつぽつと、話した。生徒会から守られることと引き換えに透冶くんの死の解明に協力してるんだ、と。
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