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「別にいいじゃん、昼前だからお茶でも飲めば」
「だからってコイツに話しかけることないだろ! もっと他にも――」
「あ、もしかして彼女ってこの人?」
ビシッ――なんて、擬態語でも聞こえてきそうな硬直を、私と桐椰くんは揃って体現した。あぁー、と遥くんは頷いた。
「やっぱり。彼方兄ちゃんから聞いたんだよね」
やっぱり彼方か……! 余計な話でもしてないかと不安だったけれどまさか一番してほしくない話をしてたなんて!
「兄がお世話になってます。弟の遥です」
「え、あ、どうも、桜坂亜季といいます……」
「おい待て、兄貴に聞いたっていつだよ」
「今朝。遼が学校に行った後。遼がいる前で言ったら怒るだろうなーって言って。カップルコンテスト出るんだろ? 彼方兄ちゃんも見に来るって言ってた」
「あの野郎ッ……!」
桐椰くんが怒りに拳を震わせる隣で、遥くんはじろじろと私を見た。桐椰くんと違って感情の起伏がないのだろうか、可愛い顔なのに無表情だ。ふーん、なんて頷くから、ごくりと生唾を飲む。まさか可愛いのは見た目だけで中身はやっぱり桐椰くん……?
「いい趣味してるじゃん。俺好きだよ、こういう小動物系」
……何、だと……。
「ちょっと遼くん! なんで遼くんの兄弟は遼くん以外優しいの!?」
「コイツが見てるの身長だけなんだよ! 兄貴は性別しか見てねぇしお前は身長しか見てねぇし何のために目がついてんだよ!」
「ちょっとそこまで言う!? 酷くない!?」
「そうだよ遼、そうやって女子に酷いからモテないんじゃない。少しは彼方兄ちゃんを見習えよ」
「どいつもこいつもうるせーな! 俺の勝手だろ!」
「亜季さん、遼に飽きたら俺に乗り換えなよ」
「やめろ! 身長以外も見ろとは言わないからコイツと付き合うのだけはやめろ!」
「やだ遼くん、弟にまで嫉妬しなくてもいいのに」
「そろそろマジで殴るぞテメェ!」
あぁ、本当に似てない。三人兄弟ってこんなに三者三様なんだ。遥くんは鬱陶しそうに耳を塞ぐふりをする。可愛い。



