「いいことねーよ、それ、知っても。真実はいつだって美しいどころか目を逸らしたくなるような残酷さしか持ってねーんだから」
「じゃあ、彼方は何で透冶くんが死んだか知ってるの?」
「ああ、知ってるよ」
──あまりにあっさりと言われた答えに、心臓が跳ねた。
「え……」
「で、アイツらが知らないでいいんだってことも知ってる。だから首突っ込むのはやめときな。そのベストカップルコンテストだって、勝利は生徒会にあげちまえ」
そうして彼方は、桐椰くん達があんなに欲しがるものをいとも簡単に否定した。そして「よっこいしょ」と腰を上げる。そんなところで年月の経過を感じた。
「俺は弟の様子でも見に行ってこようかな。亜季ちゃんも一緒に行くだろ? カップルなんだし」
「え、行かないよ……。彼方と知り合いだってバレたら何でなのか問い詰められちゃうじゃん」
「いいじゃん、別に。それにアイツだってお前に会いたいはずだ」
「え? 何言ってんの?」
ということは、桐椰くんは、昔、私に会っているのだろうか? 桐椰くんがそんな発言をしたことは――いや、一度だけあった。彼方も、私と桐椰くんは会ったことがあるかのような発言をした。でもそれが意味するのは──。
「やだよ、私、遼くんにそのこと話すつもりないもん」
「ずっと?」
「ずっと」
「ふーん。それでもいいのかもしれないけどさ、亜季ちゃん、折角新しく頑張ろうって思ってるんだろ? そういうとこまで含めて仲良くなってくれるヤツ探すのアリだと思うんだけどな」
「……別に、昔の私を好きになってもらう必要なんてないもん」
ぷいっとそっぽを向いて拗ねてみせれば、彼方はぷっと笑った。
「今はそうでもいつか辛くなるって」
「……知られるほうが辛い」
「どーだろうな。全部話す必要はないけど、亜季ちゃんが持ってる罪悪感はぶちまけたほうが楽になれるかもしれないぞ」
彼方は罪悪感の線引きがどこにあるか分かってるからそんなことを言えるんだ。ちょっとだけ、彼方が怖くなった。私が私のしでかしたことに罪悪感を抱いてることは知ってるくせに、私があの人との関係では一切の罪悪感を抱いてないってことを、彼方は見透かしている。私の身勝手さを、彼方はよく知っている。
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