「きゃーっきゃーっ! 話は聞いてるよ桐椰くん! あっ、私、三年二組の厚木万理子っていうの、よろしくね! そっちの……彼女? と一緒にBCCに参加してるんでしょ? 生徒会の蝶乃と鹿島くんに対抗してるんだってねー、頑張ってね!」
BCCに参加してることを知りながら、そして私と桐椰くんが手を繋いでいるのを見ながら、〝彼女?〟と疑問形を口にしてくれたお陰でその内心は筒抜けだ。ついでに一瞬向けられた目が「あぁ、やっぱり近くで見ても可愛くないわ」と言ってくれたのでとっても分かりやすい。あとは蝶乃さんを呼び捨てにしてることも考えれば御三家派の人なのかなー、なんて。
「……で、この競技、何」
「こっちが出すお題に対する回答をカップルでそれぞれ用意してもらうの。答えが一緒になれば10ポイントよ」
「へぇ。満点は?」
「全十問だから100ポイント」
ふふーん、なるほど。じゃあさっき優勝したカップルはそこそこお互いのことを知ってたのかな。20ポイントだったカップルは付き合いたてだったのか、はたまたよっぽどお互いに興味がなかったのか。
「で、これいつ始まるわけ」
「三組揃ったら始まるよー。とりあえずあっちに名前書いて? BCCに参加してるカップルは獲得ポイントを企画役員運営に送信して管理することになってるから」
野次馬係の生徒達を鬱陶しそうに一瞥し、桐椰くんは引き摺るように私を連れて受付に行く。データはパソコンで送信しても署名は紙にするらしい。因みに受付には別の人がいたんだけど、厚木さんが押しのけるようにその人に取って代わった。発言力のなさそうな地味な人だったから仕方ない。厚木さん、司会をやってるくらいには溌剌した人だし。
「じゃあここに署名してー……」
署名する桐椰くんの隣でこっそりと視線を巡らせる。三年二組の生徒達は興味なさげに雑談を楽しむ人もいれば、目が合ってしまうほどこちらを凝視する人もいる。ついでに何やら慌てたように出て行った人がいたからなんだろうな──と思ってたけど、その人が生徒会の徽章をつけてるのが目に入った。
「えっ」
「なんだ、どうした」
なんだか嫌な予感がした。でもきっと気のせいだ。御三家と一緒にいることでやたら生徒会を敵視してしまっていて、そのせいで生徒会役員が動いたことに過敏に反応してしまっただけ──。



