第一幕、御三家の桜姫



 三年二組は教室の外観は「彼氏or彼女とどれだけ相性がいいか……試してみませんか?」と看板があるだけでBCCについては特に何も触れられてない。桐椰くんが素通りしてしまった原因はそこにある。中に入ってみれば男女合せて六人がそれぞれ背中合わせに椅子に座ってるから、多分カップル三組なんだろう。タブレットに何か書き込んでる。


「では一斉にオープン!」


 ついでに黒板には巨大なモニターがあった。司会者の声を合図に真黒だった画面が六分割されて、それぞれに手書き文字が現れる。水族館、家、帰り道、水族館、遊園地、海。それを確認したカップルのうち一組が「やったーっ」と喜んで手を取り合い、他二組が「帰り道って何!?」「遊園地なんて行ったことないじゃん!」とお互い憤慨している。

 あぁー、と頷いた。


「そっか、好きなデート場所」

「因みにお前は」

「……帰り道かな」

「パクってんじゃねーよ」

「本当だもーん。ちゃんと覚えてね」

「はいはい」


 それにしても、書き込みと答え合わせが紙媒体じゃないなんてさすが金持ち学校。松隆くんが「文化祭は金が動く」と言ったのは間違いないらしい。どうやら最後の答え合わせだったらしく、カップルはそれぞれ座ってた椅子にタブレットと専用のペンを置いて立ち上がった。得点は司会者の隣に座る子が管理してるらしく、彼女がパソコンに何かを打ち込めばスクリーンの画面が変わった。棒グラフで表示された三チーム。棒グラフの下に猿と(きじ)と犬のマークがついてるから多分桃太郎だ。ついでに数字でポイントも出てて、順番に70ポイント、20ポイント、40ポイントだ。何点満点かしらないけど、どうやら猿ペアが圧勝してるのは分かる。


「優勝はおさるさんチーム! 見事な相性です、おめでとうございます!」


 喜んでるのはほのぼのしたカップルだ。男の子も女の子も派手じゃない。雉チームはチャラい男子と女子が口論してる。もう一組は「こんなもんだよねー」で納得したらしく二人で談笑中。


「優勝したお二人には記念撮影の場が設けてあります! 前にどーぞ!」


 司会者が促しながらスクリーンを畳んだ。スクリーンの裏に出てきたのは天使飛び交うピンクと白の……簡潔に言ってまあウェディングに相応しいお飾りと背景だ。仲睦まじいカップルがピースと共に映り込み、運営兼野次馬係の生徒が囃し立てる。挙句スマホでもデジカメでもなく見事なプロっぽいカメラで撮影そして現像。三枚現像して二枚は台紙に挟んで参加カップルに、一枚は教室内の展示物に。なるほど。