何も言えない。
何もできない。
きっと何も必要とされていない。
私が人間だから
「………」
何も言えずに黙っていると旭兎さんが
やっと座っていた椅子から腰を上げる。
「でわ、また明日お邪魔しまぁす」
そう張り付いた笑顔で部屋を出ていった
彼の背中をじっとただ黙って見た。
「――――」
カランッ―
すると出て行ったのをしっかり確認した後
口喧嘩をしたら絶対負けると思っていたのか
ずっと黙っていた医師が口を開く
「………沙野ちゃんいいの?
本当にあんなやつら使って。
荷造りなら僕手伝うよ?」
今まで重たい物も持った事が
なさそうな細い腕で名乗り出てきたが
この人は私が旅に出るのは反対だったはず
きっとまともに協力してくれない。
スッー
「………大丈夫です」
そういって私も部屋を出た。
冷たくしすぎたのか私が部屋を出た後
何か小さい声で文句を言われていたが
どうでもよかった。
