DOLL 人形達の物語



「では、一日使っていただけるということで!

ありがとうございます!また明日」


このままごちゃごちゃ言われてしまう前に
決めてしまえと強引に約束を
取り付けようとしようとした時

沙野嬢が手を握り立ち上がった俺を止めた



パシッ!!

「待ってください。

まだそのお話をお受けするなんて
言ってません

……彼は、嫌がってましたよ。

第一彼は大怪我をしています。
薬師として患者を無理に動かせるのは
賛成できません。」



なんとも甘い事を言い出す沙野に
さっきまで自分のペースに流せて絶好調に
ニコニコしていた旭兎は一気に凍りつくような
真顔になりそして





「………ただの怪我や嫌なのが理由で
無くなる仕事なら

DOLLももっと生きやすくなるでしょうね。」




初めて真顔のまま冷たい言葉をはいた。





「――っ」

怖くなって後退りしてしまうと
スッとさっきとは逆に手を握られて

驚いてもう一度顔を見ると
さっきの真顔からにっこりと

いつもの胡散臭さを含んだ笑顔に戻っている




「………お嬢さんDOLLに肩入れするのはいいが


俺達の世界

甘やかしてもらって
生きていける世界じゃない。


…………貴方も言ってましたよね?」




アンタの話を聞いて
奏斗のやつ勘違いしちまっただろうが。

俺も最初驚いたけど
あんな演説ガキにしか響かない。




『誇り高く戦わせてももらえない今に比べれば…

昔の方がずっと――』



昔の方がずっと?

なんだよ?

何を知ってて言ってやがるんだ。


何もしらねぇだろだって



「――――あんたは所詮、人間だ…ってね」



そう言った旭兎は



今日1番胡散臭い笑顔で笑っていた。