DOLL 人形達の物語




(勧誘を、されている………?)




何故?


医師ならわかる、地位もお金も持ってるから。

でもこんな何もないただの薬師に?


しかも、1日無料なんて聞いたことがないと
眉を寄せ旭兔の事を疑い始める






「ーっ、旭兔!」ガタッ!!


とうとう我慢できなくなった奏斗が止めに入る。

今まで黙って耐えていたからか
初めて発する大きな声に
呼ばれた旭兔本人だけでなく

沙野、医師も目を向ける。





(嫌なんだろう、な)



1日無料で売られるDOLLの辛さは

わからない……


でも、嫌に決まってるわ


白銀の髪はサラサラで
男の子だと疑ってしまいそうなほど
大きく青空のような色の目

肌は白くて透きとおっている
その辺の人間や身なりにお金を
かけまくっている貴族よりも遥かに整っていて

綺麗な顔の彼の見た目ではDOLLの相場だと
1日だと数百万はくだらないだろう。





無料で自分が売られるのが嫌なんだと
思い込んでる



沙野達をよそに旭兔だけはじっと奏斗を見た。




やめろ、やめろよ。

この人はこっち側の意見を

持ってくれてるひとなんだよ


そんな人めったに居ないんだよ


やめて旭兔……



そう言っている奏斗の本心を

同じDOLLの旭兔ならわかる。


自分の価値なんてもんは
きっとどうでもいいのだろう。


何円でもいい、何をさせられてもいい。


どれほど大金を出されても


自分自身の価値が上がったりしないから


惨めだと言う事は何も変わらないからだ。


でも、せっかくの数少ない


……いや

今後もう現れないかも知れない

DOLLの事を尊重してくれる沙野嬢を
自分の客にして自分の大嫌いな汚い人間に


なってしまうのが、たまらなく怖いんだ。




これはDOLL側じゃないとわからない。




いくら沙野がDOLLの事を尊重しても



彼女は所詮―――――――